概要
timeline-scope
は、CSS
アニメーションで使用されるタイムラインのスコープ(範囲)を制御するプロパティです。特定のイベント(例えばスクロールやページ内のトリガー)に基づいてアニメーションを動作させる場合、このプロパティを使ってアニメーションの影響範囲を限定することができます。これにより、特定の要素だけにアニメーションを適用したり、ページ全体のスクロールに応じたアニメーションを作成するなど、より柔軟でダイナミックなWebデザインを実現できます。
基本的な構文
selector {
timeline-scope: value;
}
value
には、タイムラインのスコープを制御する値を指定します。
主な値
auto
デフォルトの値で、アニメーションのスコープを自動的に決定します。document
タイムラインのスコープをページ全体(ドキュメント)に適用します。これにより、ドキュメント全体のスクロールに応じたアニメーションが可能になります。element
アニメーションのスコープを特定の要素に限定します。スクロールやその他のイベントがその要素内で発生した場合にのみ、アニメーションが適用されます。
例 - timeline-scopeの基本的な使用
以下は、timeline-scope
を使って特定の要素にアニメーションタイムラインを設定する例です。
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1.0">
<style>
.scroll-animate {
width: 100px;
height: 100px;
background-color: lightblue;
animation: move 5s infinite;
timeline-scope: element; /* この要素にタイムラインのスコープを限定 */
}
@keyframes move {
0% { transform: translateX(0); }
100% { transform: translateX(300px); }
}
</style>
<title>timeline-scopeの例</title>
</head>
<body>
<div class="scroll-animate">
スクロールで動く要素
</div>
</body>
</html>
説明
この例では、.scroll-animate
クラスの要素にtimeline-scope: element
を設定しています。この設定により、アニメーションが特定の要素内で発生するスクロールなどのイベントに応じて実行されます。ページ全体ではなく、特定のエリア内でアニメーションが制御されるため、効果的に範囲を限定して動作させることが可能です。
timeline-scopeの用途と効果
timeline-scope
を使用することで、アニメーションのスコープをページ全体に適用するのか、特定の要素に限定するのかを柔軟に制御できます。このプロパティは、スクロールイベントや特定の領域でのみアニメーションを発動させたい場合に非常に便利です。
主な効果
- ページ全体に応じたアニメーション:
timeline-scope: document
を使用すると、ページのスクロールに連動したアニメーションを実装できます。パララックスやページ内のセクションごとのアニメーションに役立ちます。 - 特定の要素に限定したアニメーション:
timeline-scope: element
を使用することで、要素ごとに独立したアニメーションを作成でき、ページ全体のパフォーマンスにも影響を与えにくくなります。
timeline-scopeと他のタイムラインプロパティの組み合わせ
timeline-scope
は他のタイムライン関連のプロパティと組み合わせることで、より複雑で効果的なアニメーションが可能です。たとえば、scroll-timeline
プロパティと連動させることで、スクロールに基づくアニメーションを柔軟に設定できます。
例 - scroll-timelineとの連携
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1.0">
<style>
@scroll-timeline my-scroll-timeline {
source: auto;
axis: block;
}
.animate-box {
width: 100px;
height: 100px;
background-color: coral;
scroll-timeline-name: my-scroll-timeline;
timeline-scope: document; /* ページ全体のスクロールに応じたアニメーション */
animation: slide 2s infinite;
}
@keyframes slide {
0% { transform: translateX(0); }
100% { transform: translateX(300px); }
}
</style>
<title>timeline-scopeとscroll-timelineの連携例</title>
</head>
<body>
<div class="animate-box">
スクロール連動のアニメーション
</div>
</body>
</html>
説明
この例では、scroll-timeline
とtimeline-scope: document
を組み合わせて、ページ全体のスクロールに応じてアニメーションが動くように設定しています。これにより、ページ全体のスクロールイベントがアニメーションのトリガーとなり、よりダイナミックな効果を実現しています。
timeline-scopeを使う際の注意点
- ブラウザのサポート
timeline-scope
は比較的新しいプロパティであり、すべてのブラウザでサポートされているわけではありません。特に、古いブラウザでは未対応の可能性があるため、使用する際にはブラウザの対応状況を確認することが重要です。 - アニメーションのパフォーマンス
タイムラインのスコープを大きく設定すると(たとえばdocument
)、アニメーションがページ全体に影響を与えるため、パフォーマンスに負荷がかかる可能性があります。特に、スクロールイベントをトリガーにしたアニメーションでは、慎重に範囲を設定することが大切です。
timeline-scopeのデザイン効果
timeline-scope
を使うことで、アニメーションの範囲を的確に制御できるため、デザインの自由度が大幅に向上します。特定の要素だけにアニメーションを適用したり、ページ全体に広がるダイナミックな動きを作成することで、ユーザー体験を向上させます。
例 - ダイナミックなWebデザイン
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1.0">
<style>
body {
height: 200vh; /* スクロール可能な高さ */
}
.dynamic-box {
width: 100px;
height: 100px;
background-color: limegreen;
timeline-scope: document;
animation: dynamic-move 3s infinite;
}
@keyframes dynamic-move {
0% { transform: translateY(0); }
100% { transform: translateY(500px); }
}
</style>
<title>ダイナミックなWebデザイン</title>
</head>
<body>
<div class="dynamic-box">
ダイナミックアニメーション
</div>
</body>
</html>
説明
この例では、timeline-scope: document
を使ってページ全体のスクロールに応じたアニメーションが作成されています。スクロールに連動して要素が動くことで、視覚的にダイナミックなWeb体験を提供します。
まとめ
timeline-scope
は、CSS
でアニメーションのタイムラインを制御し、特定の要素やページ全体に応じたアニメーションを作成できる強力なプロパティです。スクロールイベントに基づくアニメーションや、特定の要素内で限定されたアニメーションを柔軟に設定することで、ユーザーにとってインタラクティブでダイナミックなWebデザインを実現できます。ブラウザのサポート状況に注意しながら、適切に活用してデザインを強化しましょう。