【HALCON】abs_diff_image 関数について - 画像の絶対差を計算する

HALCONのabs_diff_image関数は、2つの画像間のピクセルごとの絶対差を計算し、その結果を新しいグレースケール画像として出力するための関数です。この関数は、動きの検出や画像間の変化を視覚的に明らかにするために使用されます。例えば、連続した2つの画像の違いを分析することで、動きや物体の変化を検出することができます。

この関数は、対象となる2つの画像が同じフォーマット（グレースケール画像や複数チャネル画像）であることが前提です。abs_diff_image関数は、グレースケール値が異なる各ピクセルに対して絶対差を計算し、その結果を新しい画像に反映させます。

基本的な使用例

以下は、abs_diff_image関数を使用して2つの画像間の絶対差を計算する基本的なコード例です。

* 2つの画像を読み込む
read_image(&Image1, "image1.png")
read_image(&Image2, "image2.png")

* 画像間の絶対差を計算する
abs_diff_image(Image1, Image2, &AbsDiffImage, 1.0)

* 結果を表示する
disp_image(AbsDiffImage, WindowHandle)

このコードでは、まず2つの画像を読み込み、abs_diff_image関数で各ピクセル間の絶対差を計算し、その結果をAbsDiffImageに格納します。その後、disp_image関数で結果を表示します。

abs_diff_image関数の引数

abs_diff_image関数は次の引数を取ります。

• Image1
  最初の入力画像。この画像は、絶対差の計算に使用される画像の1つで、グレースケール画像または複数チャネルの画像である必要があります。
• Image2
  比較対象となる2つ目の入力画像。Image1と同じ形式である必要があります。
• ImageAbsDiff
  出力画像。この画像には、abs_diff_image関数で計算された各ピクセルの絶対差が格納されます。
• Mult
  スケーリング係数。この係数は、計算された絶対差に適用され、結果画像のコントラストを調整するために使用されます。通常は1に設定されますが、必要に応じて他の値も指定可能です。

abs_diff_image関数の戻り値

abs_diff_image関数は、2つの画像の各ピクセルの絶対差を計算し、その結果を新しい画像ImageAbsDiffに出力します。この画像は、入力画像のピクセルごとのグレースケール値の差分を表しています。

使用上の注意

abs_diff_image関数は、2つの入力画像が同じサイズ、同じフォーマットであることを前提としています。画像のサイズや形式が一致しない場合は、関数がエラーを返す可能性があります。また、スケーリング係数Multを変更することで、結果画像のコントラストや明るさを調整できます。これは、非常に明るい画像や暗い画像の処理に役立ちます。

さらに、この関数はSIMD技術やOpenCLによる並列処理に対応しており、大規模な画像データやリアルタイム処理が必要なタスクでも効率的に動作します。これにより、高速での画像処理が実現可能です。

動きや変化の検出

abs_diff_image関数は、動きの検出や変化の分析において特に有用です。例えば、連続した画像フレームを比較して、動きのある部分や変化した部分を検出することができます。これは、監視システムや自動検出システムでの異常検出などに役立ちます。

* 前のフレームと現在のフレームを比較して動きを検出する
read_image(&PrevFrame, "frame1.png")
read_image(&CurrFrame, "frame2.png")

* フレーム間の絶対差を計算
abs_diff_image(PrevFrame, CurrFrame, &MotionImage, 1.0)

* 動きのあった部分を表示
disp_image(MotionImage, WindowHandle)

この例では、監視カメラのフレーム間の差分を計算し、動きがあった部分を強調して表示しています。

パフォーマンスの最適化

abs_diff_image関数は、計算の最適化が行われており、特にMultが1に設定された場合、パフォーマンスが向上します。また、OpenCLを有効にすると、GPUを使用して処理を並列化し、処理速度が大幅に向上することがあります。

* OpenCLを有効にして画像処理を高速化
set_system("opencl_device", "gpu")

* 画像間の絶対差をGPU上で計算
abs_diff_image(Image1, Image2, &AbsDiffImage, 1.0)

このコードでは、OpenCLデバイスを有効にして、GPUを使用した高速な画像処理を行っています。

まとめ

HALCONのabs_diff_image関数は、2つの画像間のピクセルごとの絶対差を計算し、変化や動きを検出するための強力なツールです。SIMDやOpenCLによる最適化を活用することで、大規模なデータやリアルタイム処理にも対応できます。画像解析や監視システムなど、幅広い用途での活用が期待できる関数です。