【HALCON】abs_invar_fourier_coeff 関数について - フーリエ係数の絶対不変量を計算する

【HALCON】abs_invar_fourier_coeff 関数について - フーリエ係数の絶対不変量を計算する

2024-08-23

2024-08-23

abs_invar_fourier_coeff関数の概要

HALCONのabs_invar_fourier_coeff関数は、画像解析において、物体の回転や輪郭の開始点の変位に対して不変なフーリエ係数を計算するために使用されます。フーリエ変換を用いた形状認識やパターン認識において、物体の回転や位置の違いに関係なく、同じ形状を正確に捉えるために重要な役割を果たします。この関数は、産業用ロボットのビジョンシステムや製品の自動検査など、形状に依存する解析タスクで利用されています。

物体が異なる角度から撮影されても、abs_invar_fourier_coeff関数を使用することで、回転や位置に関係なく特徴量を抽出できます。例えば、製造ラインで同じ形状の部品が回転した状態で流れてきても、この関数を使用すれば形状認識が可能です。

abs_invar_fourier_coeff関数の基本的な使用方法

この関数は、フーリエ係数の実部と虚部を入力として受け取り、回転や位相シフトに対して不変な特徴を持つ正規化されたフーリエ係数を出力します。abs_invar_fourier_coeffは、物体が回転している場合でもその形状の特徴を正確に保持するため、フーリエ変換を用いた形状分析やパターン認識の精度を高めます。

基本的な使用例

次に、フーリエ係数を使用して形状の特徴を正規化するコードの例を示します。

* フーリエ係数の計算
get_region_contour(single_region, &row, &col)
prep_contour_fourier(row, col, "signed_area", &param_scale)
fourier_1dim(row, col, param_scale, 50, &real_coef, &imag_coef)

* フーリエ係数の正規化

abs_invar_fourier_coeff(real_coef, imag_coef, 1, 2, "az_invar1", &real_abs_invar, &imag_abs_invar)

この例では、get_region_contour関数を使用して画像の輪郭を取得し、その輪郭に対してfourier_1dimを使用してフーリエ係数を計算しています。その後、abs_invar_fourier_coeff関数でフーリエ係数を正規化し、real_abs_invarおよびimag_abs_invarに結果を格納します。このプロセスにより、物体の回転や位相シフトに対して不変な特徴が抽出されます。

abs_invar_fourier_coeff関数の引数

abs_invar_fourier_coeff関数は以下の引数を取ります。

  • RealAbsInvar
    正規化する前のフーリエ係数の実部。fourier_1dim関数などを用いて計算された実部の係数が使用されます。
  • ImaginaryInvar
    正規化する前のフーリエ係数の虚部。RealInvarと同様、フーリエ変換によって得られた虚部の係数です。
  • coefP
    正規化の際に使用する係数P。通常、1または2を指定します。これにより、正規化の強度が変わります。
  • coefQ
    正規化に使用する係数QcoefPとは異なる値を指定しますが、通常は1または2が選ばれます。
  • AZInvar
    フーリエ係数のAZ不変量のオーダーを指定します。このパラメータにより、回転や位相の影響を除去するための正規化手法が選択されます。例えば、"abs_amount"は位相情報を除去し、"az_invar1"は開始点に対する正規化を行います。

abs_invar_fourier_coeff関数の戻り値

abs_invar_fourier_coeff関数は、正規化されたフーリエ係数の実部RealAbsInvarと虚部ImaginaryAbsInvarを返します。これらの係数は、回転や位置の変化に対して不変な形状特徴を表します。この不変量により、異なる角度から撮影された同一物体の形状でも、同じように認識することが可能になります。

応用例

回転不変な形状認識

abs_invar_fourier_coeff関数は、物体が回転していてもその形状を正確に認識するためのツールとして、ロボットビジョンや製造ラインの形状検査に広く利用されています。例えば、製品が製造過程で回転した状態でも、その形状の特徴を捉えることができるため、回転不変のパターンマッチングが可能です。

開始点の変位に対する不変量

物体の形状や輪郭の解析では、輪郭の開始点が変わることでフーリエ係数に位相シフトが生じることがあります。abs_invar_fourier_coeff関数を使用することで、この位相シフトを除去し、物体の位置や開始点に関係なく、形状の一貫した特徴を抽出できます。

パターンマッチング

フーリエ変換を利用したパターンマッチングでは、物体の位置や回転に依存せずに形状を一致させることが重要です。abs_invar_fourier_coeff関数は、フーリエ係数の位相情報を除去し、安定したパターンマッチングを実現します。これにより、開始点のずれや回転があっても、同一物体として認識することが可能です。

パフォーマンスの最適化

abs_invar_fourier_coeff関数は、回転や位相の影響を除去するための複雑な計算を行いますが、HALCONの他のフーリエ関連の関数と組み合わせることで、高速かつ精度の高い形状認識が可能です。特に、大量の物体を処理するシステムでは、適切な設定を行うことでパフォーマンスの最適化が求められます。

例えば、coefPcoefQの設定を調整することで、正規化の強度を制御し、認識の精度

と速度のバランスを取ることができます。リアルタイム処理では、このバランスが重要です。

まとめ

HALCONのabs_invar_fourier_coeff関数は、物体の回転や位置に対して不変な特徴を抽出するための非常に有用なツールです。これにより、フーリエ変換を利用した形状認識やパターンマッチングの精度が向上し、産業用ロボットや品質管理の自動システムなど、さまざまな応用分野で活躍しています。正規化されたフーリエ係数を使用することで、回転や位置に依存しない安定した解析が可能となり、複雑な画像処理タスクを効率的にこなすことができます。

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