【HALCON】dyn_threshold 関数について - 動的しきい値による画像の二値化
2024-09-07
2024-09-07
HALCON
のdyn_threshold
関数は、動的なしきい値を使用して画像の二値化を行うための機能です。二値化とは、画像内の画素を2つの値に分類する処理であり、対象物を抽出する際に非常に重要なステップです。この関数は、特に不均一な背景や照明条件が変動する状況で効果的に動作し、適切な二値化を実現します。
dyn_threshold 関数の概要
dyn_threshold
関数は、入力画像と参照画像を基にして動的なしきい値を計算し、画像の二値化を行います。通常の固定しきい値とは異なり、各ピクセルに対して異なるしきい値を適用できるため、背景が不均一な場合や光の変動が激しい環境でも精度の高い二値化が可能です。
基本的な使用方法
dyn_threshold
関数の基本的な構文は以下の通りです。
dyn_threshold(Image, ImageDarks, BinImage, Offset, LightDark)
Image
二値化する対象の入力画像。ImageDarks
参照画像。この画像のピクセル値を基に動的なしきい値が計算されます。BinImage
出力される二値化後の画像。Offset
しきい値のオフセット値。参照画像に対してどれだけの範囲でしきい値を調整するかを指定します。LightDark
しきい値が対象とする領域。'light'
を指定すると明るい領域、'dark'
を指定すると暗い領域を抽出します。
具体例
以下に、dyn_threshold
関数を使用して画像を二値化する具体例を示します。
* 画像の読み込み
read_image(Image, 'test_image.png')
read_image(ImageDarks, 'reference_image.png')
* 動的しきい値を用いた二値化
dyn_threshold(Image, ImageDarks, BinImage, 5, 'light')
* 二値化された画像の表示
disp_image(BinImage, WindowHandle)
この例では、test_image.png
という入力画像と、reference_image.png
という参照画像を使用して二値化を行っています。しきい値のオフセットとして5
が指定され、明るい領域を抽出するために'light'
を指定しています。
応用例
dyn_threshold
関数は、以下のような様々なシナリオで有効に活用できます。
-
照明条件が変化する環境での二値化
工場の生産ラインや自然環境など、照明が安定しない環境では固定しきい値による二値化は困難です。dyn_threshold
は、こうした状況でも背景の影響を最小限に抑え、対象物を正確に抽出できます。 -
背景が不均一な画像の処理
参照画像を用いることで、背景の明るさやパターンに左右されず、対象物のみを抽出することができます。これにより、複雑な背景を持つ画像の前処理として非常に有効です。 -
医療画像や衛星画像の解析
医療画像や衛星画像など、背景が複雑で細かい対象物を検出する必要がある場合にも、この動的なしきい値処理は有効です。
まとめ
HALCON
のdyn_threshold
関数は、背景が不均一であったり、照明条件が変化する環境での画像の二値化に非常に適しています。この関数を使うことで、動的に調整されたしきい値を適用し、精度の高い画像処理を行うことが可能です。特に複雑なシーンにおいて、対象物を確実に抽出するための強力なツールとして活用できます。