【HALCON】hand_eye_calibration 関数について - ハンドアイキャリブレーション
2024-09-09
2024-09-09
HALCON
のhand_eye_calibration
関数は、ロボットアームに取り付けられたカメラの位置と姿勢を校正(キャリブレーション)するために使用される関数です。このプロセスは、ロボットの座標系とカメラの座標系の関係を確立し、カメラの視点に基づいたロボットアームの正確な制御を可能にします。特に、ロボティクスのビジョンシステムでカメラを活用した操作や計測において非常に重要な役割を果たします。
hand_eye_calibration 関数の概要
hand_eye_calibration
は、ロボットアームの座標系(ロボットベース)と、アームに取り付けられたカメラの座標系(カメラ座標)の間の変換行列を計算します。このプロセスは「ハンドアイキャリブレーション」と呼ばれ、手先にカメラを装着する「eye-in-hand」システムや、固定されたカメラがロボットを観測する「eye-to-hand」システムに使用されます。キャリブレーション後は、カメラを通して得られた画像情報を基に、ロボットの正確な動作を行うことができます。
基本的な使用方法
以下は、hand_eye_calibration
関数の基本的な構文です。
hand_eye_calibration(RobotPoses, CameraPoses, CalibrationResult, CalibrationQuality)
-
RobotPoses
:
ロボットアームの各位置に対応する座標データ(ロボットの座標系における位置と姿勢)。 -
CameraPoses
:
カメラが各ロボットの位置から観測した対象物の座標データ(カメラ座標系での位置と姿勢)。 -
CalibrationResult
:
計算されたキャリブレーション結果が格納される出力変数。この変数には、カメラ座標系とロボット座標系の間の変換行列が含まれます。 -
CalibrationQuality
:
キャリブレーションの品質を示す評価値。数値が小さいほど精度が高いことを示します。
この関数は、ロボットの動きとカメラの観測データを基に、両者の座標系の関係を定量的に計算します。
具体例
以下に、hand_eye_calibration
を使用してロボットとカメラのキャリブレーションを行う例を示します。
* ロボットの位置データ(例: いくつかの姿勢)
RobotPoses := [['pose1'], ['pose2'], ['pose3']]
* カメラから観測した対象物の位置データ
CameraPoses := [['camera_pose1'], ['camera_pose2'], ['camera_pose3']]
* キャリブレーションの実行
hand_eye_calibration(RobotPoses, CameraPoses, CalibrationResult, CalibrationQuality)
* キャリブレーション結果と品質を表示
disp_message(WindowHandle, 'Calibration Result: ' + CalibrationResult, 'window', 12, 12, 'black', 'true')
disp_message(WindowHandle, 'Calibration Quality: ' + CalibrationQuality, 'window', 40, 12, 'black', 'true')
この例では、ロボットの位置データとカメラの観測データを基に、hand_eye_calibration
を実行し、カメラ座標とロボット座標の間の変換行列を計算しています。CalibrationResult
には計算された変換行列が、CalibrationQuality
にはキャリブレーションの精度が格納されます。
応用例
hand_eye_calibration
は、次のような場面で特に有用です。
-
ロボットのビジョンシステム
カメラを使用してロボットが物体を認識し、正確に操作を行うシステムで、カメラとロボットアームの位置関係を精度良く設定する必要があります。 -
ロボットの自動組み立てライン
ロボットアームがカメラで位置を確認しながら物体を組み立てる場合、カメラとロボットのキャリブレーションを行うことで、精度の高い操作が可能になります。 -
リモートロボティクス
遠隔操作ロボットのカメラ視点と実際のアームの動作を一致させることで、遠隔地での精密な作業が可能となります。
まとめ
HALCON
のhand_eye_calibration
関数は、ロボットアームとカメラの座標系をキャリブレーションし、両者の関係を確立するための重要なツールです。この関数を使用することで、ロボットアームに取り付けられたカメラを正確に制御し、ビジョンシステムに基づいた精密な操作が可能になります。特に、ロボティクスの自動化プロセスや遠隔操作において、カメラの視点を用いた制御が求められる場面で非常に効果的です。