【HALCON】match_fundamental_matrix_distortion_ransac 関数について - RANSACを用いた歪みを考慮した基本行列のマッチング
2024-09-04
2024-09-04
HALCON
のmatch_fundamental_matrix_distortion_ransac
関数は、RANSACアルゴリズムを使用して、2つのカメラ画像間の基本行列(Fundamental Matrix)を推定し、レンズ歪みを考慮した相対的なカメラ位置の推定を行うためのツールです。基本行列は、ステレオカメラや動くカメラの画像間の幾何学的関係を記述し、レンズ歪み補正や3D再構築において重要な役割を果たします。RANSACアルゴリズムは、ノイズや外れ値に対して頑健なモデル推定を可能にします。
match_fundamental_matrix_distortion_ransac 関数の概要
match_fundamental_matrix_distortion_ransac
関数は、2つのカメラで撮影された画像間の基本行列を、レンズの歪み補正を含めて推定します。基本行列は、対応する画像点ペア間の幾何学的関係を表し、カメラの位置関係を計算する際に使用されます。この関数では、RANSAC(Random Sample Consensus)アルゴリズムを使用することで、外れ値やノイズの影響を除去し、正確な基本行列を得ることが可能です。
RANSACは、データセットからノイズや外れ値を無視して信頼性の高いモデルを推定するための反復的な手法であり、この場合は基本行列の推定に適用されます。さらに、レンズの歪みを考慮することで、歪んだ画像でも精度の高い推定が可能です。
使用方法
基本的なmatch_fundamental_matrix_distortion_ransac
関数の使用方法は以下の通りです。
match_fundamental_matrix_distortion_ransac(Points1, Points2, CameraParam, DistortionModel, MaxDistance, FundamentalMatrix, Status)
Points1
1つ目の画像における対応点の座標。Points2
2つ目の画像における対応点の座標。CameraParam
カメラの内部パラメータ。DistortionModel
レンズの歪みモデル。MaxDistance
RANSACで許容される最大距離(外れ値の閾値)。FundamentalMatrix
計算された基本行列(出力)。Status
点ペアが外れ値かどうかを示すステータス(出力)。
具体例
以下に、match_fundamental_matrix_distortion_ransac
関数を使用して、基本行列を推定する例を示します。
* 対応点の座標を定義
Points1 := [[120, 150], [220, 250], [320, 350]]
Points2 := [[122, 153], [223, 253], [321, 354]]
* カメラの内部パラメータと歪みモデルを設定
CameraParam := [800, 800, 320, 240]
DistortionModel := [0.1, -0.05, 0.001, 0.0]
* RANSACの最大距離を設定
MaxDistance := 1.0
* 基本行列を推定
match_fundamental_matrix_distortion_ransac(Points1, Points2, CameraParam, DistortionModel, MaxDistance, FundamentalMatrix, Status)
* 結果を表示
disp_message(WindowHandle, 'Fundamental Matrix: ' + FundamentalMatrix, 'window', 12, 12, 'black', 'true')
この例では、Points1
とPoints2
という2つの画像間の対応点を使用して、基本行列を推定しています。カメラの内部パラメータとレンズの歪みモデルを指定し、RANSACアルゴリズムで外れ値を排除しながら正確な基本行列を計算します。計算されたFundamentalMatrix
は、カメラ間の相対的な位置関係を示します。
応用例
match_fundamental_matrix_distortion_ransac
関数は、以下のような応用シーンで利用されます。
-
ステレオビジョン
ステレオカメラシステムにおいて、対応点間の基本行列を推定し、3D再構築のための精密なカメラ位置の計算に使用します。 -
3D再構築
2D画像から対応点を抽出し、カメラ間の幾何学的関係を推定することで、3D構造を再構築します。 -
レンズ歪み補正
レンズによる歪みが画像に含まれている場合でも、歪みモデルを考慮し、正確な基本行列の推定が可能です。
まとめ
HALCON
のmatch_fundamental_matrix_distortion_ransac
関数は、RANSACアルゴリズムを使用して基本行列を推定し、レンズの歪みを考慮しながらカメラの相対的な位置関係を計算するためのツールです。この関数を使用することで、外れ値の影響を抑えつつ、ステレオビジョンや3D再構築における精度を向上させることができます。特に、歪みのある画像やノイズの多いデータセットに対して有効です。