【HALCON】photometric_stereo 関数について - フォトメトリックステレオ法による3D形状再構成
2024-09-13
2024-09-13
HALCON
のphotometric_stereo
関数は、異なる方向から照明された複数の画像を用いて物体の3D形状を再構成するための手法、フォトメトリックステレオ(Photometric Stereo)を実装するためのツールです。この技術を使うことで、物体の表面形状や凹凸を詳細に解析でき、特に微細な形状の検出や解析が求められる場面で威力を発揮します。
photometric_stereo 関数の概要
フォトメトリックステレオ法は、異なる角度から光を当てた際の物体表面の反射を解析することで、物体の3D形状(法線ベクトルや高度マップ)を再構成する技術です。photometric_stereo
関数は、複数の画像を入力として、法線画像(物体表面の各点における法線ベクトル)や高度マップ(物体表面の標高)を出力します。これにより、物体の詳細な形状情報を得ることができます。
使用方法
基本的な使用方法は以下の通りです。
photometric_stereo(Images, LightDirections, SurfaceNormals, HeightMap)
Images
異なる光源下で撮影された入力画像群。各画像は異なる角度からの光源によって照明されます。LightDirections
各光源の方向ベクトルを示す配列。SurfaceNormals
計算された物体表面の法線ベクトル画像が格納される変数。HeightMap
計算された物体表面の高度マップが格納される変数。
具体例
以下は、photometric_stereo
関数を使用して物体の3D形状を再構成する例です。
* 複数の光源下で撮影された画像を読み込み
read_image(Images, ['light1.png', 'light2.png', 'light3.png'])
* 各光源の方向を設定
LightDirections := [ [0, 1, -1], [1, 0, -1], [-1, -1, -1] ]
* フォトメトリックステレオによる3D形状の再構成
photometric_stereo(Images, LightDirections, SurfaceNormals, HeightMap)
* 結果の表示
dev_display(SurfaceNormals)
dev_display(HeightMap)
この例では、3つの異なる光源下で撮影された画像を用い、それぞれの光源方向をLightDirections
に設定しています。photometric_stereo
関数により、物体の法線画像と高度マップが生成され、それを表示しています。
応用例
photometric_stereo
関数は、以下のようなシーンで特に役立ちます。
-
工業検査
部品や製品の表面形状を精密に検査し、微細な欠陥や凹凸を検出します。特に、部品表面の滑らかさや均一性を確認するために効果的です。 -
文化財保存
彫刻や古代のアーティファクトなどの微細な表面の形状を非接触で解析し、形状データの保存や復元に役立ちます。 -
医療分野
生体組織や皮膚の表面形状を精密に解析し、皮膚疾患や組織損傷の評価に利用されます。
まとめ
HALCON
のphotometric_stereo
関数は、異なる光源下で取得した画像を用いて、物体の3D形状を詳細に再構成する強力なツールです。この技術を用いることで、物体表面の微細な凹凸を正確に捉え、工業検査や医療、文化財保存などの分野で応用することができます。フォトメトリックステレオは、特に複雑な形状や詳細な表面解析が必要な場面で大きな効果を発揮します。