【HALCON】plane_deviation関数ガイド - 平面からの偏差計算

HALCONのplane_deviation関数は、3D点群データに対して最適な平面をフィットさせ、各点の平面からの偏差を計算するための関数です。この機能により、物体の表面の平面性や歪みを評価することが可能です。特に、製造業における部品の精密検査や、建築物の構造物が設計通りに整っているかを確認するために役立ちます。

plane_deviation関数の概要

plane_deviation関数は、3D点群データに基づいて平面をフィットさせ、その平面から各点の偏差を計算します。この偏差は、平面と各3D点の間の距離を示し、物体の表面がどの程度平坦であるか、またはどれほど歪んでいるかを評価するために使用されます。

基本構文

plane_deviation(X, Y, Z, Distance)

• X
  3D点群のX座標のリスト。
• Y
  3D点群のY座標のリスト。
• Z
  3D点群のZ座標のリスト。
• Distance
  出力として得られる、各点の平面からの偏差（距離）が格納されるリスト。

この関数は、与えられた3D座標データに対して最適な平面をフィットさせ、その平面からの各点の偏差を計算します。

使用例

次に、plane_deviation関数を使用して、3D点群データから平面をフィットさせ、その平面からの偏差を計算するシンプルな例を示します。

* 3D点群データの読み込み
X := [0.0, 1.0, 2.0, 3.0]
Y := [0.0, 1.0, 2.0, 3.0]
Z := [0.1, 1.1, 2.0, 2.9]

* 平面からの偏差を計算
plane_deviation(X, Y, Z, Distance)

* 偏差の結果を表示
for i := 0 to |Distance|-1 by 1
    disp_message(WindowID, 'Point ' + i + ': Deviation = ' + Distance[i], 'window', 12, 12 + i*20, 'black', 'true')
endfor

この例では、3D座標リストから平面をフィットさせ、各点の平面からの偏差を計算して、その結果を表示しています。

実際の応用

部品の平面性評価

plane_deviation関数は、製造業での部品検査において、部品の表面が設計通りの平面に近いかどうかを確認するために使用されます。例えば、金属プレートやガラス板の平面性を評価し、凹凸や歪みを検出するのに役立ちます。

建築物の歪み検出

建築業界では、壁や床などの構造物が設計通りに平坦かどうかを確認するために、3Dデータを用いて平面からの偏差を測定することが重要です。plane_deviationを使って、設計基準に対する実際の構造物の歪みを測定し、修正が必要な箇所を特定できます。

表面形状の評価

3Dスキャンデータから、物体の表面形状を評価する際に、plane_deviationを用いて各点が平面からどの程度ずれているかを解析することができます。これにより、表面が滑らかであるか、または曲がっているかを定量的に評価することができます。

plane_deviationの応用例

次の例では、製造業で使用される部品の表面を3Dスキャンし、その表面が平面からどの程度歪んでいるかを計測しています。

* 部品の3Dスキャンデータを読み込み
read_object_model_3d(Part3D, 'part_3d_model')

* 3D点群データを取得
get_object_model_3d_params(Part3D, 'point_coord_x', X)
get_object_model_3d_params(Part3D, 'point_coord_y', Y)
get_object_model_3d_params(Part3D, 'point_coord_z', Z)

* 平面からの偏差を計算
plane_deviation(X, Y, Z, Distance)

* 偏差の最大値を表示（表面の最大歪み）
max_value_array(Distance, MaxDeviation)
disp_message(WindowID, 'Max Deviation: ' + MaxDeviation, 'window', 12, 12, 'black', 'true')

この例では、3Dスキャンから得られた部品の点群データに対してplane_deviationを適用し、各点が平面からどれほど離れているかを測定しています。また、表面の最大の歪みを表示しています。

平面からの偏差の利点

平面からの偏差を測定することで、物体の表面がどの程度設計通りに平面に近いかを定量的に評価できます。特に、製造業や建築業界では、表面の平坦さや歪みを検出し、品質管理や構造物の安全性を確保するために重要な役割を果たします。これにより、物体の形状や寸法が基準に対して適切かどうかを迅速に判断できます。

まとめ

HALCONのplane_deviation関数は、3D点群データに基づいて平面からの偏差を計算し、物体の表面がどれほど平坦であるか、または歪んでいるかを評価するための強力なツールです。製造業や建築業、3Dスキャンによる表面形状の評価において、物体の形状や品質を正確に解析するために幅広く活用されています。