【JavaScript】ランタイム比較ガイド - Deno・Node.js・Bunの違いと選び方

PUBLISHED 2026-02-05

JavaScript / TypeScript の実行環境(ランタイム)は Node.js だけではありません。Deno や Bun といった新しい選択肢が登場し、それぞれ異なる特徴を持っています。

この記事では、ランタイムの基本から各ツールの違い、選定基準、フレームワークとの対応状況までを解説します。

ランタイムとは

ランタイム(runtime) とは、プログラムを実行するための環境・ソフトウェアのことです。

プログラミング言語で書いたコードは、そのままではコンピュータ上で動きません。コードを読み取り、実行してくれる「土台」が必要です。それがランタイムです。

主な言語とランタイム

言語ランタイム役割
JavaScriptNode.js / Deno / ブラウザJSコードを実行する
JavaJVM (Java Virtual Machine)Javaコードを実行する
PythonCPythonPythonコードを実行する
C#.NET RuntimeC#コードを実行する

ランタイムの役割

  • コードを読み取って実行する
  • メモリの管理(確保・解放)
  • OS とのやり取り(ファイル操作、ネットワーク通信など)
  • エラーの検出・処理
💡 JavaScriptはランタイムで動く場所が変わる

同じ JavaScript でも、ランタイムによって動く場所が異なります。ブラウザ(Chrome, Firefoxなど)ではWebページ上で、Node.js や Deno ではサーバーやPC上で動作します。

JavaScript ランタイムの比較

現在、JavaScript / TypeScript のランタイムは主に3つあります。

Node.js・Deno・Bunの違い

特徴Node.jsDenoBun
作者Ryan DahlRyan DahlJarred Sumner
TypeScriptトランスパイル必要ネイティブサポートネイティブサポート
セキュリティ制限なしデフォルトでサンドボックス制限なし
パッケージ管理npm + node_modulesURL import / deno.jsonnpm互換 + 内蔵PM
npm互換性ネイティブnpm: specifierで利用可能ネイティブ
標準ライブラリサードパーティ依存公式で提供一部内蔵
速度標準標準高速(起動・実行とも)
状況主流成長中成長中
%%{init: {'theme':'neutral'}}%% graph TD A["JavaScript ランタイム"] --> B["Node.js"] A --> C["Deno"] A --> D["Bun"] B --> B1["定番・最大のエコシステム"] C --> C1["セキュア・モダン志向"] D --> D1["速度特化・オールインワン"]

その他のランタイム

名前特徴状況
WinterJSRust製・Web標準準拠実験的
LLRTAWS Lambda向け軽量ランタイム特化用途
txiki.js軽量・組み込み向けニッチ

実質的には Node.js / Deno / Bun の3択です。

ランタイムとパッケージマネージャーの違い

「Deno は pnpm と同じもの?」と混同されがちですが、カテゴリが異なります。

カテゴリ役割
ランタイムコードを実行するNode.js, Deno, Bun
パッケージマネージャーライブラリを管理するnpm, pnpm, yarn
📌

Bun はランタイムとパッケージマネージャーの両方の機能を兼ね備えた特殊な存在です。

%%{init: {'theme':'neutral'}}%% graph TD R["ランタイム(コードを動かす)"] --> R1["Node.js — 定番"] R --> R2["Deno — セキュア・モダン"] R --> R3["Bun — 速度特化"] P["パッケージマネージャー(ライブラリを管理)"] --> P1["npm — Node.js付属の標準"] P --> P2["pnpm — ディスク効率"] P --> P3["yarn — Facebook製"] P --> P4["Bun — Bunランタイムに付属"]

パッケージマネージャーの比較

名前特徴状況
npmNode.js付属の標準最も普及
pnpmディスク効率・厳格な依存管理人気上昇中
yarn (Classic)v1系・広く使われた保守モード
yarn (Berry)v2以降・PnP方式一部で採用
Bun高速なinstallBun利用者向け

実質的には npm / pnpm / yarn の3択です。

ランタイムの選び方

ブラウザ(選定不要)

Webページ上で動くものを作るなら、ランタイムはブラウザです。選ぶ余地はありません。

  • Webサイトのインタラクション
  • SPA(React, Vue, Svelteなど)
  • ブラウザ拡張機能

Node.js を選ぶ場面

「実績・安定性・エコシステム重視」 のときに選びます。

  • 業務のWebアプリ・APIサーバー
  • npmの既存ライブラリを多用するプロジェクト
  • チームメンバーが Node.js に慣れている
  • 情報量が多く、トラブル時に解決しやすい

Deno を選ぶ場面

「モダンさ・シンプルさ重視」 のときに選びます。

  • 個人プロジェクトや新規の小規模プロジェクト
  • TypeScript をセットアップなしで使いたい
  • セキュリティを厳格にしたい(権限制御)
  • node_modules や設定ファイルの多さを避けたい

Bun を選ぶ場面

「速度・シンプルさ重視」 のときに選びます。

  • 起動速度や実行速度を重視するプロジェクト
  • ランタイムとパッケージマネージャーを統一したい
  • Node.js互換を保ちつつ高速化したい

判断基準まとめ

判断ポイントNode.jsDenoBun
チームの経験ほとんどのチームが経験ありまだ少ないまだ少ない
ライブラリの数圧倒的に多いnpm互換で使えるが一部非対応npm互換
採用実績大企業含め豊富まだ少ないまだ少ない
学習コスト情報が多く学びやすい公式ドキュメントは良いが情報は少なめ情報は少なめ
設定の手間tsconfig, eslint等が必要ほぼゼロ設定ほぼゼロ設定
✅ 実務で多い選択

Node.js + npm or pnpm の組み合わせ。エコシステム・情報量・採用実績が圧倒的

❌ まだリスクがある選択

Deno や Bun を業務の大規模プロジェクトに採用。互換性問題やチームの学習コストに注意

💡 現実的な結論

実務ではほとんどの場合 Node.js が選ばれます。理由は「チームが使える」「ライブラリが揃っている」「困ったときに情報がある」という実用面です。Deno や Bun は個人プロジェクトや新規の小規模案件から試すのがおすすめです。

フレームワーク別の対応状況

React(ライブラリ単体)はどのランタイムでも問題なく使えます。ただしフレームワークによって対応状況が異なります。

フレームワークNode.jsBunDeno
Next.js公式対応ほぼOK非対応寄り
Astro公式対応OK公式対応
Vite公式対応OK対応
Nuxt公式対応ほぼOK実験的
SvelteKit公式対応ほぼOK実験的
⚠️

Next.js は Node.js 前提で作られています。Bun でも動く場合が多いですが、一部機能で問題が出ることがあります。Deno での Next.js 利用は現状厳しい状況です。

フレームワーク別のおすすめランタイム

Next.js を使う    → Node.js(一択に近い)
Astro を使う      → Node.js / Deno / Bun どれでも
Vite系を使う      → Node.js / Bun が安定

フレームワークの選定が先にあり、それに合うランタイムを選ぶという順番になることが多いです。

よくある組み合わせ

目的推奨構成
一般的な業務Node.js + npm or pnpm
モダンな開発Node.js + pnpm
速度重視Bun(ランタイム + パッケージ管理を兼用)
セキュリティ重視Deno(パッケージ管理も内蔵)
ランタイム選定のチェックポイント
  • チーム メンバーの経験と学習コストを確認する
  • ライブラリ 必要なnpmパッケージの互換性を確認する
  • フレームワーク 使用するフレームワークの対応状況を確認する
  • リスク 新しいランタイムは小規模案件から試す

参考文献

まとめ

JavaScript / TypeScript のランタイムは Node.js、Deno、Bun の3つが主要な選択肢です。

  • Node.js は実務の定番。エコシステムと情報量で圧倒的
  • Deno はセキュリティとモダンな開発体験を重視する場面で有力
  • Bun は速度を最優先する場面で選択肢になる
  • パッケージマネージャー(npm, pnpm, yarn)はランタイムとは別のカテゴリ
  • フレームワークの対応状況を確認してからランタイムを選ぶのが現実的

実務ではまだ Node.js が主流ですが、Deno や Bun は着実に成長しています。個人プロジェクトから試して、各ランタイムの特徴を体感しておくことをおすすめします。

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