【JavaScript】ランタイム比較ガイド - Deno・Node.js・Bunの違いと選び方
JavaScript / TypeScript の実行環境(ランタイム)は Node.js だけではありません。Deno や Bun といった新しい選択肢が登場し、それぞれ異なる特徴を持っています。
この記事では、ランタイムの基本から各ツールの違い、選定基準、フレームワークとの対応状況までを解説します。
ランタイムとは
ランタイム(runtime) とは、プログラムを実行するための環境・ソフトウェアのことです。
プログラミング言語で書いたコードは、そのままではコンピュータ上で動きません。コードを読み取り、実行してくれる「土台」が必要です。それがランタイムです。
主な言語とランタイム
| 言語 | ランタイム | 役割 |
|---|---|---|
| JavaScript | Node.js / Deno / ブラウザ | JSコードを実行する |
| Java | JVM (Java Virtual Machine) | Javaコードを実行する |
| Python | CPython | Pythonコードを実行する |
| C# | .NET Runtime | C#コードを実行する |
ランタイムの役割
- コードを読み取って実行する
- メモリの管理(確保・解放)
- OS とのやり取り(ファイル操作、ネットワーク通信など)
- エラーの検出・処理
同じ JavaScript でも、ランタイムによって動く場所が異なります。ブラウザ(Chrome, Firefoxなど)ではWebページ上で、Node.js や Deno ではサーバーやPC上で動作します。
JavaScript ランタイムの比較
現在、JavaScript / TypeScript のランタイムは主に3つあります。
Node.js・Deno・Bunの違い
| 特徴 | Node.js | Deno | Bun |
|---|---|---|---|
| 作者 | Ryan Dahl | Ryan Dahl | Jarred Sumner |
| TypeScript | トランスパイル必要 | ネイティブサポート | ネイティブサポート |
| セキュリティ | 制限なし | デフォルトでサンドボックス | 制限なし |
| パッケージ管理 | npm + node_modules | URL import / deno.json | npm互換 + 内蔵PM |
| npm互換性 | ネイティブ | npm: specifierで利用可能 | ネイティブ |
| 標準ライブラリ | サードパーティ依存 | 公式で提供 | 一部内蔵 |
| 速度 | 標準 | 標準 | 高速(起動・実行とも) |
| 状況 | 主流 | 成長中 | 成長中 |
その他のランタイム
| 名前 | 特徴 | 状況 |
|---|---|---|
| WinterJS | Rust製・Web標準準拠 | 実験的 |
| LLRT | AWS Lambda向け軽量ランタイム | 特化用途 |
| txiki.js | 軽量・組み込み向け | ニッチ |
実質的には Node.js / Deno / Bun の3択です。
ランタイムとパッケージマネージャーの違い
「Deno は pnpm と同じもの?」と混同されがちですが、カテゴリが異なります。
| カテゴリ | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| ランタイム | コードを実行する | Node.js, Deno, Bun |
| パッケージマネージャー | ライブラリを管理する | npm, pnpm, yarn |
Bun はランタイムとパッケージマネージャーの両方の機能を兼ね備えた特殊な存在です。
パッケージマネージャーの比較
| 名前 | 特徴 | 状況 |
|---|---|---|
| npm | Node.js付属の標準 | 最も普及 |
| pnpm | ディスク効率・厳格な依存管理 | 人気上昇中 |
| yarn (Classic) | v1系・広く使われた | 保守モード |
| yarn (Berry) | v2以降・PnP方式 | 一部で採用 |
| Bun | 高速なinstall | Bun利用者向け |
実質的には npm / pnpm / yarn の3択です。
ランタイムの選び方
ブラウザ(選定不要)
Webページ上で動くものを作るなら、ランタイムはブラウザです。選ぶ余地はありません。
- Webサイトのインタラクション
- SPA(React, Vue, Svelteなど)
- ブラウザ拡張機能
Node.js を選ぶ場面
「実績・安定性・エコシステム重視」 のときに選びます。
- 業務のWebアプリ・APIサーバー
- npmの既存ライブラリを多用するプロジェクト
- チームメンバーが Node.js に慣れている
- 情報量が多く、トラブル時に解決しやすい
Deno を選ぶ場面
「モダンさ・シンプルさ重視」 のときに選びます。
- 個人プロジェクトや新規の小規模プロジェクト
- TypeScript をセットアップなしで使いたい
- セキュリティを厳格にしたい(権限制御)
node_modulesや設定ファイルの多さを避けたい
Bun を選ぶ場面
「速度・シンプルさ重視」 のときに選びます。
- 起動速度や実行速度を重視するプロジェクト
- ランタイムとパッケージマネージャーを統一したい
- Node.js互換を保ちつつ高速化したい
判断基準まとめ
| 判断ポイント | Node.js | Deno | Bun |
|---|---|---|---|
| チームの経験 | ほとんどのチームが経験あり | まだ少ない | まだ少ない |
| ライブラリの数 | 圧倒的に多い | npm互換で使えるが一部非対応 | npm互換 |
| 採用実績 | 大企業含め豊富 | まだ少ない | まだ少ない |
| 学習コスト | 情報が多く学びやすい | 公式ドキュメントは良いが情報は少なめ | 情報は少なめ |
| 設定の手間 | tsconfig, eslint等が必要 | ほぼゼロ設定 | ほぼゼロ設定 |
Node.js + npm or pnpm の組み合わせ。エコシステム・情報量・採用実績が圧倒的
Deno や Bun を業務の大規模プロジェクトに採用。互換性問題やチームの学習コストに注意
実務ではほとんどの場合 Node.js が選ばれます。理由は「チームが使える」「ライブラリが揃っている」「困ったときに情報がある」という実用面です。Deno や Bun は個人プロジェクトや新規の小規模案件から試すのがおすすめです。
フレームワーク別の対応状況
React(ライブラリ単体)はどのランタイムでも問題なく使えます。ただしフレームワークによって対応状況が異なります。
| フレームワーク | Node.js | Bun | Deno |
|---|---|---|---|
| Next.js | 公式対応 | ほぼOK | 非対応寄り |
| Astro | 公式対応 | OK | 公式対応 |
| Vite | 公式対応 | OK | 対応 |
| Nuxt | 公式対応 | ほぼOK | 実験的 |
| SvelteKit | 公式対応 | ほぼOK | 実験的 |
Next.js は Node.js 前提で作られています。Bun でも動く場合が多いですが、一部機能で問題が出ることがあります。Deno での Next.js 利用は現状厳しい状況です。
フレームワーク別のおすすめランタイム
Next.js を使う → Node.js(一択に近い)
Astro を使う → Node.js / Deno / Bun どれでも
Vite系を使う → Node.js / Bun が安定
フレームワークの選定が先にあり、それに合うランタイムを選ぶという順番になることが多いです。
よくある組み合わせ
| 目的 | 推奨構成 |
|---|---|
| 一般的な業務 | Node.js + npm or pnpm |
| モダンな開発 | Node.js + pnpm |
| 速度重視 | Bun(ランタイム + パッケージ管理を兼用) |
| セキュリティ重視 | Deno(パッケージ管理も内蔵) |
- チーム メンバーの経験と学習コストを確認する
- ライブラリ 必要なnpmパッケージの互換性を確認する
- フレームワーク 使用するフレームワークの対応状況を確認する
- リスク 新しいランタイムは小規模案件から試す
参考文献
まとめ
JavaScript / TypeScript のランタイムは Node.js、Deno、Bun の3つが主要な選択肢です。
- Node.js は実務の定番。エコシステムと情報量で圧倒的
- Deno はセキュリティとモダンな開発体験を重視する場面で有力
- Bun は速度を最優先する場面で選択肢になる
- パッケージマネージャー(npm, pnpm, yarn)はランタイムとは別のカテゴリ
- フレームワークの対応状況を確認してからランタイムを選ぶのが現実的
実務ではまだ Node.js が主流ですが、Deno や Bun は着実に成長しています。個人プロジェクトから試して、各ランタイムの特徴を体感しておくことをおすすめします。