概要
Python
のhelp
関数は、オブジェクトに関するドキュメントを簡単に表示するための組み込み関数です。この関数を使用すると、関数やクラス、モジュールの使い方や詳細な情報をすぐに確認できます。Python
の標準ライブラリやサードパーティのライブラリを使いこなす上で、help
関数は非常に有用です。
構文
help(オブジェクト)
パラメータ
- オブジェクト
ドキュメントを確認したいオブジェクトを指定します。このオブジェクトには、関数、クラス、モジュール、あるいはデータ型など、幅広い対象が含まれます。
使用例
関数のドキュメントを表示する
help
関数の最も一般的な使用方法は、関数のドキュメントを表示することです。例えば、Python
の組み込み関数len
について調べたい場合、次のように実行します。
help(len)
実行すると、len
関数の概要や引数、戻り値についての情報が表示されます。
Help on built-in function len in module builtins:
len(obj, /)
Return the number of items in a container.
ここでは、len
関数が「コンテナ内のアイテムの数を返す」関数であることが説明されています。
クラスのドキュメントを確認する
クラスについてのドキュメントも、help
を使って簡単に確認できます。たとえば、Python
標準ライブラリのlist
クラスについて調べる場合、次のように入力します。
help(list)
すると、list
クラスに関する情報が表示され、list
のコンストラクタ、メソッド(append
, extend
, pop
など)やその使い方が説明されます。
モジュールのドキュメントを確認する
さらに、help
を使えばモジュール全体のドキュメントも確認可能です。たとえば、Python
の標準ライブラリであるmath
モジュールのドキュメントを表示するには、次のようにします。
import math
help(math)
これにより、math
モジュールが提供するすべての関数や定数(例: sin
, cos
, pi
など)についての情報が出力されます。
自作クラスや関数のドキュメントも表示可能
help
関数は、標準ライブラリや組み込み関数だけでなく、自作のクラスや関数にも適用できます。自分で作成したクラスや関数にdocstring
(ドキュメント文字列)を付けておくことで、help
関数でその情報を表示できるようになります。
def greet(name):
"""与えられた名前に対して挨拶をする関数"""
print(f"こんにちは、{name}さん!")
help(greet)
このコードを実行すると、greet
関数のdocstring
が表示されます。
Help on function greet in module __main__:
greet(name)
与えられた名前に対して挨拶をする関数
このように、help
関数は自分のコードのドキュメント管理にも役立ちます。
対話型モードでの活用
Python
の対話型シェル(python
コマンドを実行して起動)では、help
を呼び出すことで、その場でドキュメントを確認することができます。シェル内でhelp()
とだけ入力すれば、ドキュメンテーションシステムが起動し、任意のトピックについてドキュメントを参照できます。
help()
これを実行すると、次のようなプロンプトが表示され、モジュールやキーワード、トピックの詳細を調べることができます。
help> modules
このようにして、インポート可能なすべてのモジュールリストを確認できます。
簡単な使い方まとめ
よく使うhelpの使い方
-
関数の詳細を知りたいとき
help(len)
のように関数名を指定。 -
クラスやモジュールの使い方を確認したいとき
help(list)
やhelp(math)
のようにクラスやモジュール名を指定。 -
自作の関数やクラスにドキュメントを追加して表示
関数やクラスに"""docstring"""
を追加し、help
で確認。
まとめ
Python
のhelp
関数は、ドキュメントをすぐに参照できる便利なツールです。組み込み関数や標準ライブラリの利用に関して疑問が生じた場合、help
を使えば、詳細な情報を簡単に取得できます。また、自作のコードにドキュメントを追加することで、コードの可読性や保守性も向上させることができます。Python
プログラムを書く際には、積極的にhelp
関数を活用して効率的に学習と開発を進めましょう。