App RouterとPages Routerの概要
Next.js
は2つの主要なルーティング方式を提供しています。それが、App RouterとPages Routerです。これらは開発者がアプリケーションの構築方法を選択する際に、どちらが自分のプロジェクトに適しているかを判断する重要なポイントとなります。
- Pages Routerは、
Next.js
の従来のルーティングシステムで、ファイルベースのルーティングを採用しています。pages/
フォルダに配置されたファイルが自動的にルートとして認識され、静的サイト生成(SSG)、サーバーサイドレンダリング(SSR)、インクリメンタル・スタティック・リジェネレーション(ISR)などがサポートされています。 - App Routerは、
Next.js
13で導入された新しいルーティングシステムで、app/
フォルダを使用し、より柔軟でパワフルな設計が特徴です。App RouterはReact Server Componentsと統合され、パフォーマンスが大幅に向上し、サーバーサイドレンダリングが簡素化されます。
Pages Routerの特徴
ファイルベースのルーティング
Pages Routerは、ファイルの名前が自動的にURLとしてマップされるシンプルなファイルベースのルーティングを提供します。たとえば、pages/about.js
というファイルを作成するだけで、/about
というルートが作成されます。この直感的なアプローチは、多くの開発者にとって親しみやすく、特に静的サイト生成(SSG)や動的なサーバーサイドレンダリング(SSR)との相性が良いです。
静的サイト生成とISRのサポート
Pages Routerは、長年のNext.js
開発で利用されてきた強力なSSGとISRのサポートが特徴です。これにより、大量の静的ページをビルド時に生成し、必要に応じてオンデマンドでページを更新することができます。
App Routerの特徴
React Server Componentsとの統合
App Routerの最大の強みは、React Server Componentsとのシームレスな統合です。これにより、コンポーネントをサーバーサイドでレンダリングし、必要なデータのみをクライアントに送信することができ、アプリケーションのパフォーマンスが向上します。Reactの機能を最大限に活用したい場合、App Routerが優れた選択肢です。
レイアウトとネストルーティングの強化
App Routerでは、app/
フォルダ内にレイアウトを定義することが可能で、ページ全体の一貫したレイアウトを簡単に管理できます。さらに、ネストルーティングにより、複雑なUI構造を簡潔に実現できます。
動的データの効率的な取り扱い
App Routerは、SSRとクライアントサイドレンダリングを効率的に組み合わせることで、動的なデータ処理をよりスムーズに行えます。特に、大規模なアプリケーションでのパフォーマンス向上が期待できます。
App RouterとPages Routerの比較
特徴 | Pages Router | App Router |
---|---|---|
導入時期 | Next.js 初期から | Next.js 13以降 |
ルーティング方式 | ファイルベースのルーティング | React Server Componentsと統合 |
パフォーマンス | SSG/ISRで静的ページを生成 | サーバーサイドとクライアントの分割 |
柔軟性 | シンプルで安定 | レイアウトとネストルーティングの強化 |
適用範囲 | 小規模から中規模のプロジェクト | 大規模アプリケーションやパフォーマンスが重要なプロジェクト |
どちらを選ぶべきか?
- 既存のプロジェクトや安定性を求める場合:すでにPages Routerを使用しているプロジェクトや、シンプルな静的サイトでは、Pages Routerが安定した選択です。特にISRやSSGを活用するプロジェクトには適しています。
- 新規開発やパフォーマンス重視のプロジェクト:より柔軟なルーティングや、React Server Componentsのパワーをフルに活かしたい場合、App Routerが適しています。特に大規模なアプリケーションや、ダイナミックなデータ処理が求められる場面では、App Routerの利点が大きくなります。
結論
Next.js
でのルーティング選択は、プロジェクトの規模や要件に応じて決定すべきです。シンプルで安定したPages Routerを選ぶか、新しい技術を取り入れたApp Routerで柔軟な開発を行うか、要件に応じて最適な選択をしましょう。