Next.jsでのDDD(ドメイン駆動設計)実践
ドメイン駆動設計(DDD)は、ビジネスロジックを明確に分離し、ソフトウェア設計においてビジネス要件を中心に据えるアプローチです。Next.js
を使用する際にも、この設計手法を適用することで、プロジェクトのスケーラビリティや保守性を高めることができます。
DDDの基本的な考え方
DDDは、まず「ドメイン」を定義することから始まります。ドメインとは、アプリケーションが解決しようとするビジネス領域のことです。たとえば、eコマースアプリケーションの場合、商品の管理、カート機能、注文管理などがドメインに該当します。これらのビジネスロジックを反映させた設計を行うのがDDDの要となります。
Next.js
でDDDを適用するには、ビジネスロジックを「ドメイン層」に分離し、リポジトリやサービス層でデータの永続化や処理を行うアプローチが有効です。こうすることで、UIやフロントエンドロジックとビジネスロジックをしっかりと分けることができます。
DDDに基づいたディレクトリ構造
Next.js
プロジェクトでのDDDの実践には、ディレクトリ構造が重要です。以下は典型的な構造の一例です。
src/
├── domain/ # ドメインモデル(エンティティ、値オブジェクトなど)
├── repositories/ # データの永続化を担うリポジトリ層
├── services/ # ビジネスロジックを処理するサービス層
├── application/ # アプリケーション層、ユースケースの実装
├── pages/ # Next.jsのページ
├── api/ # APIルートを定義(`Next.js`のAPIルート)
├── tests/ # 各層のテストを格納
ドメイン層
ドメイン層では、ビジネスロジックを表現するモデル(エンティティ、値オブジェクト)を定義します。この層には、ビジネスルールや状態の変遷などが含まれます。
リポジトリ層
リポジトリは、データベースとのやり取りを抽象化する役割を担います。例えば、MySQL、MongoDB、APIなどの異なるデータソースに対して同じインターフェースでアクセスできるようにします。
サービス層
サービス層では、ビジネスロジックをリポジトリとやり取りしながら処理します。この層は、複数のリポジトリを利用してビジネスルールを実行したり、外部APIとの連携を行ったりする役割を持ちます。
DDDを活用するメリット
- ビジネスロジックの明確化
DDDを採用することで、ビジネスロジックが整理され、ソフトウェアがビジネス要件に直結するようになります。これにより、開発チームとビジネスエキスパートが共通の理解を持ちやすくなります。 - 保守性の向上
コードが論理的に分離されているため、各層ごとに独立したテストや変更が可能です。これにより、規模が大きくなるにつれて発生しがちな技術的負債を抑制できます。 - スケーラビリティ
DDDは大規模なシステムに特に有効であり、ビジネス要件が複雑化しても、モデルやサービスを分離することでシステム全体のスケーラビリティを確保します。
Next.jsでの実装例
タスク管理アプリケーションを例に取ると、以下のようなサービス層を持つ構造になります。タスクの作成や一覧表示などの操作は、サービス層でビジネスロジックを処理し、リポジトリを介してデータベースに永続化されます。
class TaskService {
constructor(private taskRepository: TaskRepositoryInterface) {}
async createTask(taskData: TaskCreateDto): Promise<Task> {
const task = new Task(taskData);
return await this.taskRepository.save(task);
}
async getAllTasks(): Promise<Task[]> {
return await this.taskRepository.findAll();
}
}
このように、各責任を明確に分けることで、開発の効率と品質を高めることができます。
まとめ
Next.js
でDDDを実践することで、ビジネスロジックを効果的に管理し、保守性の高いコードを維持することが可能です。適切なディレクトリ構造と、リポジトリ、サービス層を使った設計によって、システムのスケーラビリティと品質を両立させましょう。