【Scrum】用語集 - スクラムガイド2020対応の基本・関連用語を徹底解説

PUBLISHED 2026-02-04

スクラム(Scrum)を学ぶとき、専門用語の理解は欠かせません。この記事では、スクラムガイド2020に対応した用語を「基本用語」と「関連用語」に分けて解説します。

スクラムの学習や実践時のリファレンスとしてご活用ください。

基本用語

スクラムガイドで定義されている公式な用語です。

スクラムチーム(Scrum Team)

プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発者で構成されるチームです。

項目内容
構成PO 1名 + SM 1名 + 開発者(通常10名以下)
特徴機能横断的、自己管理型
責任プロダクト目標の達成
👥 チームサイズ

スクラムチームは通常10名以下です。大きすぎるとコミュニケーションコストが増加し、小さすぎると必要なスキルが不足します。

プロダクトオーナー(Product Owner)

プロダクトの価値を最大化する責任を持つ人です。

主な責任

  • プロダクトビジョンの策定と伝達
  • プロダクトバックログの管理
  • バックログアイテムの優先順位付け
  • ステークホルダーとの調整
  • リリース計画の策定
⚠️

プロダクトオーナーは1人です。委員会ではありません。ステークホルダーは開発者に直接指示できず、必ずプロダクトオーナーを経由します。

スクラムマスター(Scrum Master)

スクラムの理解と実践を支援するサーバントリーダーです。

主な責任

  • スクラムの教育とコーチング
  • イベントのファシリテーション
  • 障害(ブロッカー)の排除
  • チームの自己管理を支援
  • 組織へのスクラム導入支援
📌

スクラムマスターは管理者ではありません。チームに指示を出すのではなく、チームが自律的に動けるよう支援します。プロダクトオーナーとの兼任は推奨されません。

開発者(Developers)

インクリメントを作成する専門家集団です。

主な特性

  • 機能横断的: 必要なスキルをチーム内に持つ
  • 自己管理型: 作業の進め方は自分たちで決める
  • 推奨人数: 3〜9名程度
💡 開発者の範囲

「開発者」はプログラマーだけを指しません。デザイナー、テスター、アナリストなど、インクリメント作成に必要なすべての専門家を含みます。

スプリント(Sprint)

固定期間で動作可能なインクリメントを作成する開発サイクルです。

項目内容
期間1ヶ月以下(固定)
特徴前のスプリント終了後すぐに次が開始
含むものスプリント計画、デイリースクラム、開発作業、レビュー、レトロスペクティブ
📅 スプリント期間の目安

多くのチームは2週間を採用しています。短いほどフィードバックが早く、長いほど大きな機能を開発しやすくなります。

スプリントプランニング(Sprint Planning)

スプリントの最初に行う計画会議です。

項目内容
時間1ヶ月スプリントで最大8時間
参加者スクラムチーム全員
成果物スプリントゴール、スプリントバックログ

3つの問い

  1. Why: なぜこのスプリントに価値があるのか?
  2. What: このスプリントで何を完成させるか?
  3. How: どのように作業を進めるか?

デイリースクラム(Daily Scrum)

毎日行う15分以内の同期ミーティングです。

項目内容
時間15分以内(厳守)
参加者開発者(必須)
頻度毎日同じ時間・場所
目的スプリントゴール達成可能性の検査と翌日の計画調整
⚠️

デイリースクラムは「報告会」ではありません。チームメンバー同士の同期が目的です。上司やマネージャーへの報告の場にしないようにしましょう。

スプリントレビュー(Sprint Review)

スプリントの成果物をステークホルダーに提示し、フィードバックを得る場です。

項目内容
時間1ヶ月スプリントで最大4時間
参加者スクラムチーム、ステークホルダー
目的インクリメントの検査とフィードバック収集
💡 レビューのポイント

完成の定義を満たしたインクリメントのみをデモします。「ほぼ完成」の機能は見せません。

スプリントレトロスペクティブ(Sprint Retrospective)

スプリントの最後に行うチームの振り返り会議です。

項目内容
時間1ヶ月スプリントで最大3時間
参加者スクラムチーム全員
目的プロセス、人、ツールの検査と改善

よく使われるフォーマット(KPT)

項目内容
Keep続けたいこと
Problem問題だったこと
Try次に試すこと

プロダクトバックログ(Product Backlog)

プロダクト目標実現に必要な事項の優先順位付きリストです。

特徴

  • プロダクトオーナーが管理
  • 常に更新される(生きたドキュメント)
  • 上位の項目ほど詳細に記述
  • 見積りが含まれる
📋 バックログの透明性

プロダクトバックログは全員が閲覧できる状態にします。透明性がなければ、チームは正しい意思決定ができません。

スプリントバックログ(Sprint Backlog)

スプリントゴールと、それを達成するために選択されたプロダクトバックログアイテム、および計画で構成されます。

構成要素

  1. スプリントゴール: スプリントの目的(Why)
  2. 選択したPBI: 今回完成させるアイテム(What)
  3. 実現計画: タスクへの分解(How)

インクリメント(Increment)

完成の定義を満たし、利用者に価値を提供する動作するプロダクトです。

項目内容
条件完成の定義を満たすこと
状態利用可能・検査可能
蓄積過去のインクリメントに追加される
📌

1スプリントで複数のインクリメントを作成できます。また、スプリントレビュー前にインクリメントをリリースすることも可能です。

完成の定義(Definition of Done)

インクリメントが品質基準を満たしているかを判断する基準です。

完成の定義の例
  • コードレビューが完了している
  • 単体テストが書かれている
  • 統合テストが通っている
  • ドキュメントが更新されている
  • 本番環境にデプロイ可能な状態

関連用語

スクラムガイドには記載されていないが、実践でよく使われる用語です。

スプリントバーンダウンチャート(Sprint Burndown Chart)

スプリント内の残作業量を可視化するグラフです。

項目内容
縦軸残作業量(ポイントまたは時間)
横軸スプリントの日数
用途進捗の可視化、完了見込みの予測

スクラムボード(Scrum Board)

作業の状態を可視化するボードです。

カラム例内容
To Do未着手
In Progress作業中
Done完了
💡 物理ボード vs デジタルボード

コロケーションチームには物理的なホワイトボードが効果的です。リモートチームにはJira、Trello、Azure DevOpsなどのデジタルツールを使います。

相対見積り(Relative Estimation)

絶対的な時間ではなく、基準となる作業との相対的な大きさで見積もる手法です。

よく使われる単位

  • ストーリーポイント: フィボナッチ数列(1, 2, 3, 5, 8, 13…)で表現
  • Tシャツサイズ: S, M, L, XL で表現
🃏 プランニングポーカー

チーム全員がカードで同時に見積りを出す手法です。認知バイアスを軽減し、議論を促進します。

受け入れ基準(Acceptance Criteria)

プロダクトバックログアイテムが「受け入れ可能」となる条件です。

完成の定義との違い

項目受け入れ基準完成の定義
範囲個々のPBIすべてのインクリメント
内容機能的な要件品質基準
設定者PO(開発者と協議)チーム全体
📌

インクリメントとして認められるには、受け入れ基準と完成の定義の両方を満たす必要があります。

スプリントゼロ(Sprint 0)

本格的な開発開始前の準備期間です。

実施内容の例

  • 開発環境のセットアップ
  • 初期のプロダクトバックログ作成
  • アーキテクチャの検討
  • チームの合意形成
⚠️

スプリントゼロはスクラムガイドの公式用語ではありません。使用する場合も、この期間を長引かせないよう注意が必要です。

ベロシティ(Velocity)

1スプリントあたりに完了するストーリーポイント数の平均です。

用途説明
計画次のスプリントでどれくらい完了できるか予測
リリース計画全体の完了時期を予測
傾向分析チームの生産性の変化を把握
💡 ベロシティの注意点

ベロシティはチーム間で比較するものではありません。同じチームの過去との比較に使います。

ユーザーストーリー(User Story)

ユーザー視点で機能を記述する形式です。

フォーマット

[ユーザーの種類]として、
[達成したいこと]をしたい。
なぜなら[理由・価値]だからだ。

ログインユーザーとして、
プロフィールを編集したい。
なぜなら自分の情報を最新に保ちたいからだ。

妨害事項リスト(Impediment Backlog)

チームの作業を妨げる障害のリストです。

項目内容
管理者スクラムマスター
収集元デイリースクラム、レトロスペクティブ
対応優先度順に解決

リファインメント(Refinement)

プロダクトバックログアイテムを詳細化し、見積もる継続的な活動です。

項目内容
頻度スプリント中に継続的に実施
参加者PO、開発者
活動内容詳細化、分割、見積り、優先順位調整
⏱️ リファインメントの目安

開発者のキャパシティの10%以下を目安にします。例えば2週間スプリントなら、合計8時間程度です。

用語の関係図

スクラムチーム
├── プロダクトオーナー → プロダクトバックログを管理
├── スクラムマスター → スクラムの実践を支援
└── 開発者 → インクリメントを作成

スプリント(1〜4週間)
├── スプリントプランニング
├── デイリースクラム(毎日)
├── 開発作業
├── スプリントレビュー
└── スプリントレトロスペクティブ

成果物
├── プロダクトバックログ → プロダクトゴール
├── スプリントバックログ → スプリントゴール
└── インクリメント → 完成の定義

参考文献

まとめ

スクラム用語は大きく「基本用語」と「関連用語」に分けられます。

基本用語(スクラムガイドで定義)
  • 3つの役割: プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発者
  • 5つのイベント: スプリント、計画、デイリー、レビュー、レトロ
  • 3つの成果物: プロダクトバックログ、スプリントバックログ、インクリメント
  • 3つの確約: プロダクトゴール、スプリントゴール、完成の定義
関連用語(実践で使用)
  • バーンダウンチャート: 残作業量の可視化
  • ベロシティ: スプリントあたりの完了ポイント
  • ユーザーストーリー: ユーザー視点の機能記述
  • 相対見積り: ストーリーポイントによる見積り
💡 学習のコツ

まずは基本用語をしっかり理解しましょう。関連用語は実践しながら覚えていくのが効果的です。

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