概要
DoEvents
関数は、VBAで実行中のコードを一時中断し、システムやユーザーの操作に対して応答するために使用される関数です。通常、VBAコードが実行中の際は他の操作がブロックされますが、DoEvents
を使用することで、VBAの実行中に他のアプリケーションやユーザーの入力に応答することができます。特に、長時間実行されるループ処理などで応答性を維持するために有用です。
使用方法
基本構文
DoEvents
DoEvents
はパラメータを必要とせず、単独で使用します。この関数を呼び出すと、VBAの処理を一時的に中断し、他の待機中のイベント(システムやユーザーの入力など)を処理する時間を与えます。
使用例
基本的な使用例 - 長時間のループで応答性を維持
以下の例では、長時間実行されるループ中にDoEvents
を挿入することで、処理の途中でもユーザーが他の操作を行えるようにしています。
Sub LongRunningLoop()
Dim i As Long
' 1から1000000までのループ
For i = 1 To 1000000
' 数値をセルに書き込み
Cells(1, 1).Value = i
' 途中でDoEventsを挟むことでシステムやユーザー操作に応答
DoEvents
Next i
MsgBox "ループ処理が完了しました。"
End Sub
この例では、ループが進む中でDoEvents
が挿入されているため、Excelや他のアプリケーションの応答が阻害されることなく処理を続けることができます。
ユーザーのキャンセル操作に応答する
DoEvents
を使用して、ユーザーが実行中のプロセスをキャンセルできるようにする方法です。
Sub ProcessWithCancel()
Dim i As Long
Dim cancelFlag As Boolean
cancelFlag = False
' キャンセル用のボタンを表示
Dim btn As Object
Set btn = CreateObject("Forms.CommandButton.1")
btn.Caption = "キャンセル"
btn.Top = 10
btn.Left = 10
btn.Height = 30
btn.Width = 80
btn.OnAction = "CancelProcess"
Sheet1.Controls.Add btn
' 長い処理
For i = 1 To 1000000
If cancelFlag Then
MsgBox "処理がキャンセルされました。"
Exit For
End If
' 任意の作業
Cells(1, 1).Value = i
DoEvents ' 処理中断で応答可能に
Next i
MsgBox "処理が完了しました。"
End Sub
Sub CancelProcess()
cancelFlag = True
End Sub
このコードは、ループ処理中にキャンセルボタンを表示し、ユーザーがボタンを押すと処理を停止する例です。DoEvents
により、ループが実行中でもボタンのクリックに応答できます。
DoEvents関数の活用ポイントと注意点
-
応答性の向上
DoEvents
を使うと、VBAコードが実行中でもExcelのUIが応答し続けるため、プログラムがフリーズしたように見えなくなります。これにより、ユーザー体験が向上します。 -
過度な使用を避ける
DoEvents
を多用しすぎると、VBAのパフォーマンスが低下する場合があります。特に、頻繁に呼び出されるループ内での使用は必要最低限に抑えるよう心がけましょう。 -
他のイベントの発生に注意
DoEvents
は他のVBAコードやシステムイベントを処理するため、予期しないタイミングで別のマクロが実行される可能性があります。このため、他のマクロやイベントの動作に影響を与える場合には、慎重に使う必要があります。
まとめ
DoEvents
関数は、VBAプログラムの応答性を維持しながら長時間実行される処理を行う際に非常に役立つ機能です。ただし、過度な使用はパフォーマンスに悪影響を及ぼすこともあるため、適切なタイミングと頻度での使用が求められます。ユーザーの操作に柔軟に応答するための手段として、DoEvents
を効果的に活用してみてください。