概要

On Error Resume Nextは、VBAのエラーハンドリング機能の一つで、コードの実行中にエラーが発生した場合でも、そのエラーを無視して次の行のコードを実行し続けるための命令です。この構文は、エラーが予測される処理の前に使用され、エラーによりプログラムの実行が停止しないようにする役割を果たします。

使用方法

基本構文

On Error Resume Next

On Error Resume Nextを設定すると、その後に発生するエラーを無視し、次の行に進みます。エラー情報はErrオブジェクトに格納されるため、必要に応じてエラーチェックと処理を行うことができます。

使用例

基本的な使用例 - エラーを無視して処理を継続

Sub ExampleOnErrorResumeNext()
    On Error Resume Next  ' エラーハンドリングを有効化

    Dim num As Integer

    ' エラーが発生する可能性のあるコード
    num = 1 / 0  ' ここでゼロ除算エラーが発生しますが、プログラムは停止しません

    If Err.Number <> 0 Then
        MsgBox "エラーが発生しました: " & Err.Description
        Err.Clear  ' エラー情報をクリア
    End If

    MsgBox "プログラムは継続します"
End Sub

この例では、1 / 0によるゼロ除算エラーが発生しますが、On Error Resume Nextによりプログラムは停止せず、エラーメッセージが表示された後に続行されます。

エラー発生時に処理を分岐させる

Sub FileOpenWithErrorHandling()
    On Error Resume Next

    Open "nonexistent.txt" For Input As #1  ' 存在しないファイルを開こうとしてエラー発生

    If Err.Number <> 0 Then
        MsgBox "ファイルが開けませんでした: " & Err.Description
        Err.Clear  ' エラーをリセットして次の処理に備える
    Else
        MsgBox "ファイルが正常に開かれました"
    End If

    ' 以降の処理
    MsgBox "プログラムは継続中です。"
End Sub

この例では、ファイルを開こうとしてエラーが発生した場合にエラーメッセージを表示し、その後も処理が続くようにしています。

On Error Resume Nextの使用上の注意点

  • エラーを無視するだけでは不十分

    On Error Resume Nextはエラーを無視して次の処理に進めますが、エラーそのものを解決するわけではありません。エラーが発生したことを正しく認識し、適切に処理するためのコードを書く必要があります。

  • デバッグ時の課題

    On Error Resume Nextを使うと、エラーが発生してもプログラムが止まらず、デバッグが難しくなる場合があります。開発中は、On Error Resume Nextを使用する部分を慎重に確認し、必要に応じてエラーメッセージを出力するなどして、エラーの原因を特定できるようにしておくことが大切です。

  • エラーが連続する可能性

    エラーを無視して処理が続くため、エラーの連続発生によってプログラムが予期せぬ動作をする可能性があります。エラーチェックと適切なリセット(例: Err.Clear)を行い、コードの信頼性を確保することが求められます。

まとめ

On Error Resume Nextは、VBAでエラーハンドリングを柔軟に行うための重要な命令ですが、エラーを単に無視するだけではなく、発生したエラーに適切に対処することが不可欠です。エラー処理の内容を設計する際には、エラーが発生した理由とその対処法を明確にし、プログラムの流れが正常に保たれるように注意を払いましょう。