概要

Tan関数は、Excel VBAで指定した数値の正接(タンジェント)を計算するための関数です。正接は、直角三角形において角度の対辺と隣辺の比率を示す三角関数であり、物理計算、エンジニアリング、グラフィックス、ナビゲーションなどの分野で頻繁に使用されます。

構文

Tan(角度)

パラメータ

  • 角度

    正接を計算するための角度をラジアンで指定します。度数法の角度を使用する場合は、度をラジアンに変換してから指定します。

戻り値

指定されたラジアンの角度に対する正接値を返します。戻り値は任意の実数であり、角度によっては非常に大きな値や小さな値を返すことがあります。

説明

Tan関数は、数値(角度)をラジアンで受け取り、その正接値を返します。ラジアンは、角度を測る単位で、円の弧の長さに基づいています。1ラジアンは約57.3度です。度数法の角度をラジアンに変換するには、度にπ/180を掛けます。

  • ラジアンの理解

    0ラジアンの正接値は0、π/4ラジアン(45度)の正接値は1、π/2ラジアン(90度)では正接値が無限大(計算不能)となります。

  • 応用分野

    三角関数の一つとして、角度に関連する計算や、傾斜角度、斜面の高さの計算などで使用されます。

使用例

基本的な使用例 - 角度の正接を計算

Sub SampleTan()
    Dim result As Double

    result = Tan(0)  ' 0ラジアン(0度)
    MsgBox "角度 0 の正接: " & result  ' 結果: 0
End Sub

度数法の角度をラジアンに変換して計算

Sub TanDegrees()
    Dim angleDegrees As Double
    Dim angleRadians As Double
    Dim result As Double

    angleDegrees = 45  ' 45度
    angleRadians = angleDegrees * 3.14159265358979 / 180  ' 度をラジアンに変換
    result = Tan(angleRadians)

    MsgBox "45度の正接: " & result  ' 結果: 1
End Sub

傾斜の計算

Sub CalculateSlope()
    Dim rise As Double
    Dim run As Double
    Dim slopeAngle As Double

    rise = 5   ' 高さ
    run = 10   ' 距離

    ' 傾斜角度を計算
    slopeAngle = Atn(rise / run) * 180 / 3.14159265358979  ' ラジアンから度に変換

    MsgBox "傾斜角度: " & slopeAngle & " 度"  ' 結果: 約26.57度
End Sub

三角形の斜辺計算に利用

Sub TriangleSideCalculation()
    Dim adjacent As Double
    Dim angle As Double
    Dim opposite As Double

    adjacent = 10  ' 隣辺の長さ
    angle = 30 * 3.14159265358979 / 180  ' 30度をラジアンに変換

    ' 正接を使って対辺の長さを計算
    opposite = adjacent * Tan(angle)

    MsgBox "30度の角度に対する対辺の長さ: " & opposite  ' 結果: 約5.77
End Sub

負の角度の正接を計算

Sub TanNegativeAngle()
    Dim result As Double

    result = Tan(-3.14159265358979 / 4)  ' -π/4ラジアン(-45度)
    MsgBox "角度 -45度 の正接: " & result  ' 結果: -1
End Sub

備考

  • 無限大に注意
    π/2ラジアン(90度)やその倍数の角度では正接値が無限大となり、計算が失敗します。こうした角度を避けるか、エラーハンドリングを行うことが重要です。

  • 他の三角関数との組み合わせ
    Tan関数は、SinCos関数と併用することで、より複雑な三角形や波動の解析が可能になります。特に物理的なシミュレーションや、図形の計算に役立ちます。

  • 入力形式の確認
    Tan関数では、角度をラジアンで指定する必要があるため、度数法での計算時には必ずラジアン変換を行ってください。